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産婦人科

産科


妊娠期から新生児期を一貫した医療で二つの命を支える

産科は西胆振地域における唯一の地域周産期母子医療センターに指定されており、未熟児・周産期医療を担当しています。28週以降の早産に対応(※NICUの状況により対応困難な場合があります)、妊娠期から新生児期にかけて一貫した医療を提供しております。

さらに当院は、西胆振で唯一の日本周産期・新生児医学会から認定を受けた「指定施設」でもあり、日々の診療だけではなく、学術的な活動(医師・助産師・看護師による勉強会・症例検討会、Journal club、学会発表、論文作成など)積極的に行っております。

医師はもちろん、助産師をはじめとして産婦人科病棟スタッフ全員が学会認定の新生児蘇生法(NCPR)講習の認定Aコースを履修しており、定期的に新生児蘇生法(Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation, NCPR)A・Bコースやスキルアップコースを開催して、新規スタッフへのNCPR資格取得や日々新生児蘇生技術の研鑽に努めています。

また、新生児の出生直後の呼吸状態の悪化・急変に迅速に対応できるように、LDR室や帝王切開の時に使用するインファントウォーマーにはT-ピース蘇生器が常備されています。


新生児蘇生法(Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation, NCPR)勉強会の様子


帝王切開の時に使用するインファントウォーマー


LDR室のT-ピース蘇生器


また、助産師による外来での面談や「助産師外来」などによって、妊娠経過中から助産師が関わるようにしており、医師・助産師が連携して多方面から妊娠・分娩に携わっています。「母乳育児外来」をはじめとするアフターケアも充実しております。




【出産にかかわる対応】







妊婦健診について


通常の妊婦健診(問診、尿検査、母体体重測定、血圧測定)に加えて胎児の成長を確認するため腹部超音波検査を行っております。必要に応じて内診・経腟超音波検査を加えることがあります。


当院の産科外来には上記の目的も兼ねて2020年12月からGE Healthcare社の超音波装置Voluson E8(最新update版)を新しく導入し、より正確で詳細な胎児情報が得られるようになりました。地域周産期センターとして高度な胎児評価ができるように日々研鑽しております。さらに、新しい機能であるHDliveStudio®によって、下の図のように、よりリアルな画像を見ていただけるようになりました。


Voluson E8(GE Healthcare社)


※実際に当院で撮影された3D/4D画像(妊婦さんに同意を得て掲載)


※当院では3D/4D画像に別料金はいただいておりません

帝王切開について

当院では開腹方法は緊急の場合も含めて原則横切開(Pfannenstiel法、Joel-Cohen法)としております。しかし、前置胎盤などの胎盤位置異常や1500g未満の未熟児の帝王切開の場合、縦切開の開腹既往があるなど、状況によっては縦切開となることがありますのでご了承ください。

また、2回目以降の帝王切開の場合、前回帝王切開の傷に瘢痕・ケロイドなど傷にお悩みのある場合には、当院・他院での実施に関わらず、可能な限り修復に努めております。詳しくは担当医にご相談ください。


帝王切開の切開方向


婦人科


一般婦人科診療として、子宮や卵巣の腫瘍の他、無月経、不正出血、月経痛、月経量の異常、性感染症、更年期障害、子宮脱・下垂、異常な帯下、かゆみなど婦人科関連のあらゆる症状に対応いたします。不妊治療にも対応しております。



婦人科良性疾患 (代表的なもの)


子宮筋腫
さまざまな子宮筋腫の治療を行っています。子宮をすべて摘出する子宮全摘術と子宮を温存する筋腫核出術があります。開腹手術から腹腔鏡下手術・子宮鏡下手術まですべての治療方法に対応しています。
卵巣嚢腫
主に腹腔鏡にて手術をおこなっています。
子宮内膜症
症状、年齢に応じた治療(ホルモン療法、手術療法)を行っています。個々のライフスタイルにより治療は異なります。どの薬物療法が適しているのか、どの時期に手術をするのか、相談しながら最適な治療方法を決めていきます。
更年期疾患
症状に応じてホルモン補充療法や漢方療法などを行います。閉経後骨粗鬆症も最近注目されていますが、当院には骨密度を測定できるDEXAという機械が設置されております。
子宮脱
ペッサリーを用いた保存的な外来通院治療や手術療法があります。年齢や症状などに応じて最適な方法を決めていきます。

婦人科悪性腫瘍疾患(婦人科がん)について


婦人科がん(子宮がんや卵巣がん)の診断・治療は、婦人科のみならず、放射線科、病理診断科、そして緩和ケア科と協力したチーム医療が極めて大切です。また、医師・薬剤師チームによる抗がん剤の適正使用や副作用対策なども重要です。 当院は地域唯一のがん診療拠点病院として悪性腫瘍手術を積極的に行っており、これらのチーム医療を提供しております。また、早期発見のため検診にも力をいれておりますのでご相談ください。

子宮頸がん
子宮の入り口の部分(子宮頸部)にできるがんです。手術療法、放射線療法、化学療法の組み合わせにより治療を行います。また初期癌に関しましては、侵襲を少なくするための縮小手術も行っております。
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮の奥の部分(子宮体部)にできるがんです。原則として手術療法ですが、子宮温存が希望でごく初期のものにはホルモン療法を行う場合もあります。
卵巣がん
卵巣がんにおいては根治手術が可能な症例は根治手術を施行し、腫瘍が広範に広がっているような症例では術前化学療法により腫瘍を縮小させ、その後根治手術を行っております。

当院の不妊治療


お子さんが欲しいけれど、なかなかできにくいとお悩みの方、お気軽にご相談ください。当院では不妊症関連の一般的な検査からタイミング療法、排卵誘発療法、人工授精までの治療を行っております。
ただし、体外受精・顕微授精などの高度生殖医療は扱っておりません。適応の方は近郊の高度生殖医療施設へのご紹介となります。

不妊症とは

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
不妊の原因は様々ですが、男性側、女性側あるいはその両方に原因がある場合がありますが、原因不明のこともあります。お悩みがあれば、まずはご相談ください。

不妊症の検査

★内診・経腟超音波検査
子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染症などの病気がないかどうかを調べます。子宮内膜ポリープや子宮内膜症、子宮筋腫などの疑いがある場合には、子宮鏡やMRI検査を追加して行う場合もあります。
★子宮卵管造影検査
左右の卵管の通過障害がないか、子宮の形に異常がないかどうかを調べます。
★ホルモンの検査(血液検査)
女性ホルモンの分泌や甲状腺機能、血糖値などを調べる血液検査です。妊娠が成立する時期(黄体期)に十分な女性ホルモンが分泌されているかどうかを調べておく必要もあるため、一般的には月経周期にあわせて2回の検査を行います。
★子宮内宮の検査(子宮鏡検査)
軟性鏡(ファイバースコープ)を用いて子宮の内宮を直接確認する検査です。麻酔は不要で、通常の外来で実施できます。子宮内膜ポリープや子宮筋腫、慢性子宮内膜炎など不妊症につながる病変の診断に有用です。実施可能な時期は月経終了直後から排卵直前までと期間が限られていることはご留意ください。
★性交後試験(Huhnerテスト)
排卵直前の最も妊娠しやすい日に性交を行い、翌日、女性の子宮頸管粘液を採取し、その中に運動精子を認めるかどうかを調べます。直進運動精子が認められない場合は、免疫因子(抗精子抗体)の有無などを調べます。

一般不妊治療

女性に限定してですが、主に当院では以下の治療を行っております。

★タイミング療法
排卵の1~2日前ごろ、最も妊娠しやすいと言われている時期に性交を持つようにする方法です。卵胞の大きさや子宮頸管粘液、尿中ホルモンを測定し、排卵日を推定します。排卵日の周辺で数回の通院が必要な場合があります。
★排卵誘発療法
内服薬や注射で排卵を促す方法です。注射の場合、頻回の通院が必要なことがあります。排卵障害の場合に使用する方法ですが、正常の排卵があっても、妊娠率を上げる目的で使用する場合もあります。
★人工授精
マスターベーションで採取した精液から良好な精子を取り出して、最も妊娠しやすい時期に子宮内に注入する方法です。

外来診療表

産科


婦人科


一般受付時間 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 予約制
出張医
出張医
出張医

医師紹介


日鋼記念病院 今 沙織

医師

今 沙織

2011年 岩手医科大学 卒

母体保護法指定医
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
日本周産期新生児医学会 新生児蘇生法 Aコース資格
日本母体救命システム普及協議会 J-CIMELS ベーシックコース修了


診療実績(2018年度~2022年度)


分娩統計


2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
分娩件数 470 452 457 455 355
帝王切開 73 74 103 105 101
母体搬送 12
搬入 4 5 8 7
搬出 5 3 6 0
早産 38 38 44 52 37
NICU収容 65 65 77 82 68
立ち会い 307 279 228 55 83
ハイリスク分娩 7 13 20 15 11

産科手術


2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
帝王切開術(選択的) 42 39 52 62 49
帝王切開術(緊急) 30 35 51 43 52
遺残胎盤除去術 1 1 0 0 0
子宮頚管縫縮術(シロッカー術) 7 9 4 9 6
卵管結紮術(不妊手術) 1 1 1 1 0
流産手術 31 30 24 18 21
その他 0 1 0 2 2
112 116 132 135 130

婦人科手術


2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
悪性腫瘍手術(開腹)
子宮頸がん 7 5 11 3 3
子宮体がん 4 7 11 2 2
卵巣がん 6 5 5 8 5
卵管がん 0 1 1 0 0
腹膜がん 1 3 1 0 0
良性腫瘍手術・その他
子宮全摘術(腹腔鏡下) 39 14 26 21 16
子宮全摘術(開腹) 16 25 22 17 12
子宮筋腫核出術(腹腔鏡下) 6 8 3 4 2
子宮筋腫核出術(開腹) 0 4 1 2 2
子宮内膜ポリープ切除術 3 9 8 6 7
円錐切除術 23 24 21 18 18
付属器摘出術(腹腔鏡下) 21 24 29 10 8
付属器摘出術(開腹) 4 4 4 3 2
卵巣腫瘍核出術(腹腔鏡下) 6 7 2 7 5
卵巣腫瘍核出術(開腹) 0 0 0 0 1
婦人科子宮内容除去術 0 0 6 5 1
子宮脱・膀胱瘤手術 4 4 8 8 4
卵管切除術(異所性妊娠手術) 4 2 1 2 1
その他 7 8 4 3 9
151 154 164 119 98